小説『巡り逢い』 2018 (PR)

小説『巡り逢い』 2018 第1回 (PR)

 あるアパートで二人の男が酒を飲んでいた。一人は宮大進、一人は清水健太といった。二人は市内の食品工場で契約社員として働いていた。二人は週末の仕事終わりにビールを買い込んで、宮大の部屋で夜通し飲んでいた。夜空には月とオリオン座が光り輝いていた。ほかに星はなかった。

 宮大の部屋はアパートの二階だった。宮大は独り暮らしだった。宮大は、高校は卒業したが大学受験に失敗し、就職も叶わず、仕方なしに市内の食品工場で契約社員として働いていた。清水も同じであった。清水は気楽な男であったが、宮大は、軽度の神経症を患っていた。宮大の両親は彼の大学進学を希望したが、彼はそれを断った。宮大は、両親の重圧から逃れるため市内の安アパートで独り暮らしを始めた。

 気弱な宮大にとって気楽屋の清水と共に酒を飲む時間は至福であった。気楽屋の清水は艶福な男であった。宮大は清水のいい加減さが好きであった。生真面目で内向的な宮大にとって清水は自分の気持ちを代弁してくれるような、頼りがいのある男であった。

 今夜の宮大は艶福家の清水に相談があった。それは、心療内科での主治医、村上あゆみについてのことであった・・・・・・。